Ismael de Jesus Perez Toledo
Ballet Master・Choreographer
About Cuban ballet
キューバのバレエの歴史
キューバのバレエは、世界的に見ても非常に卓越したテクニックを備え、また独特の表現を持つキューバの誇りである。その発展は、世界に名立たるプリマ・バレリーナであり現在もキューバ国立バレエ団のディレクターを務めるアリシア アロンソと、かつてのパートナーでキューバ・バレエ界の教育と発展に長年貢献したフェルナンド アロンソによる功績が大きい。
キューバは、バレエが伝わる以前からカリブ海の文化の中心地であり、オペラとサルスエラ(スペインの民族舞踊)が非常に盛んで、多くの商業公演が行われていた。前述のフェルナンド アロンソの母は、これらを上演するカンパニーの中にいたロシア人バレエダンサー イゴオル ヤブロスキーを教師として迎え入れ、1931年にキューバ初のバレエ学校「プロ・アルテ・アソシエーション」を設立した。元来芸術に高い関心を寄せるキューバでは、国内において高いレベルを持つダンサーが育つにつれ、バレエが舞踊芸術として一般に認知されるようになっていった。
そのような中で、フェルナンド、及び弟のアルベルトは、バレエを学ぶためにロシアに渡り、さらに欧州でモンテカルロ・バレエ団での活動を経てニューヨークに渡った。その後、フェルナンドは私的なパートナーでもあったアリシア アロンソを呼び寄せ、二人はバレエ・シアター(現アメリカン・バレエ・シアター)の創立メンバーとなり、アメリカやヨーロッパで活躍する。
1948年、キューバに戻ったアリシアとフェルナンドは、キューバ国立バレエ団(BNC)の前身である「アリシア アロンソ バレエカンパニー」と「アリシア アロンソ アカデミー」を創立する。アリシアは、パリ・オペラ座を始めとするヨーロッパの主要なカンパニー、ロシアのモスクワ・ボリショイ劇場、キーロフ劇場(現マリインスキー劇場)等で世界的なプリマ・バレリーナとして活躍する。
その後、キューバ革命を経て、キューバのバレエは政府から公式に支援される芸術となり、「アリシア アロンソ バレエカンパニー」は1959年にキューバ国立バレエ団となる。1961年にはキューバ国立バレエ学校が正式に創立され、その後、半世紀を経てキューバのバレエはその独特のスタイルを維持しながら発展を遂げている。その高い技術と表現力は常に世界のトップレベルに位置し、ホセ カレーニョ、シオマラ レイエス(アメリカン・バレエ・シアター)、カルロス アコスタ(英国ロイヤルバレエ団)、ローランド サラビア(ヒューストンバレエ団)等、世界の名立たるカンパニーで活躍するエトワール・ダンサーを輩出している。